
阿部寛さんの公式サイトの速さとレトロ感が、なぜ今も愛され続けるのかを、Web制作の視点からゆるく紐解きます。
スマホでサイトを開いたら、画像ドーン、動画ドーン、JSドーン。
「読む前にギガが溶けるんですけど?」というサイト、正直けっこうありますよね。
そんな中で、インターネット界の「文化遺産」みたいに語られているのが、あの有名な「阿部寛のホームページ」。彼のオフィシャルサイトなのに、見た目は90年代のまま。なのに技術的にはちゃんと令和対応という不思議な存在です。

<阿部寛オフィシャルサイトhttps://abehiroshi.la.coocan.jpより引用>
この記事では、「阿部寛さんのホームページが、なぜこんなに速くて、なぜこんなに愛されているのか」を、ウェブ制作会社目線で、ちょっとコミカルに、でもガチで解説していきます。
※時折、敬称なしで表記しておりますが、オフィシャルな名称のためご容赦ください。(呼び捨てする意図はございません)
「阿部寛 ホームページ 誰が作ったの?」「容量どれくらい?」「https化・暗号化ってどうなった?」といった検索キーワードも、まとめてスッキリ整理していきますね。
阿部寛 ホームページはなぜこんなに速い?激軽容量とシンプルな仕組みを解説

このパートでは、驚くほど軽くて速い「阿部寛 ホームページ」の中身と、爆速表示を実現しているシンプルな仕組みを解説します。
データ量わずか数十KB?阿部寛サイトの驚きのページ容量とは
まずは、みんな大好き「容量」の話からいきましょう。いろいろなエンジニアさんやブロガーさんが計測していて、値に少し差はあるものの、トップページ全体の容量はだいたい数十KB台(40KB前後)という結果が多いです。
ちなみに、ある方がHTMLファイルだけを抜き出して計測したところ、index.html+menu+top の3ファイル合計で、テキスト容量は約10KB程度という分析もあります。「え、10KBって今どきのアイコン1個分くらいでは……?」というレベル。
比較として、最近の芸能人公式サイトだと、トップページだけで数百KB〜数MBなんてザラです。画像をふんだんに使ったビジュアル重視のサイトだと、1ページで10MB超えも珍しくありません。
つまり、阿部寛さんのホームページは「そもそも送るデータが少なすぎる」から速い。通信が遅い環境でも「読み込む量が少ない=表示までが速い」という、非常にシンプルな理屈です。
※記事冒頭、阿部寛さんのオフィシャルサイトへのリンクをクリックしていただけば、その表示速度の凄さがわかります・・・。
HTML3.2相当&フレームレイアウト?ソースコードをざっくり読み解く
では、その「軽さ」を支えているソースコードはどうなっているのか。技術者の調査によると、使われているコードはHTML3.2相当で、今では廃止された要素がたくさん使われています。
ざっくり構造を言うと、
- index.html … <frameset>で「左メニュー」と「メイン」を2分割
- 左側:menu.htm(メニューリンクが縦に並んでいるページ)
- 右側:top.htm(プロフィールや出演情報が書かれているページ)
こんな感じの3ファイル構成になっています。
レイアウトには、今は完全にレガシー扱いの<frameset> と <frame>が使われていて、装飾には <font> タグ、<center> タグなど、「令和の新人デザイナーに見せたら卒倒しそうなタグたち」が現役バリバリです。
ソースの行数も、index.htmlが十数行、menu.htmとtop.htmを合わせても約300行強。「本当にこれだけで公式サイトが動いているの?」という、ある意味ホラーなほどのシンプルさです。
画像は最低限・スクリプトほぼゼロだから爆速になる仕組み
さらに速度を支えているのが、「画像の少なさ」と「スクリプトの少なさ」です。
トップページで使われている画像は、かなり控えめです。
- 阿部寛さんの宣材写真
- 背景にうっすら見える「ABE Hiroshi」のテキスト画像
- 作品ページなどにある、最低限のサムネイル画像
最近の「ヒーロービジュアル+動画+スライダー」みたいな構成とは正反対ですね。
また、JavaScriptはほぼゼロ。トラッキングタグも、アニメーションも、スクロールでふわっと出てくるエフェクトもありません。ブラウザからすると「HTMLとちょっとした画像だけ読めばOK」という、超・素直な構成です。
要するに、「要素が少ない → ブラウザがやる仕事も少ない → 表示が爆速」という、教科書的なパフォーマンス構造になっているわけですね。
ネット民に愛される「スピードテスト&ベンチマーク用サイト」になった理由
あまりの軽さゆえに、阿部寛 ホームページは、「通信速度テスト」「ベンチマーク用サイト」としても使われるようになりました。
たとえば、
- 回線が重くてサイトが開かないとき、「とりあえず阿部寛 開くか」と試す
- 古いPCやゲーム機で「どこまでネットが使えるか」の動作確認に使う
- 自分のサイトの高速化が「阿部寛のホームページ」にどこまで近づいたかを比較する
といった感じで、Web界の「タイムアタックコース」みたいな扱いになっています。
ある技術者は、自分のサイトの高速化がどれくらい進んだかを確認する指標として、「阿部寛のホームページとの差が0.015秒まで縮まった!」と、ほぼスポーツの世界みたいな報告をしています(汗)
ここまでくると、もはや「インフラエンジニア達の遊び場であり、尊敬の対象」になっていると言ってもいいでしょう。
他の芸能人サイトと何が違う?阿部寛さんのホームページは何がすごいか整理してみた
では、「阿部寛 ホームページ 何 がすごい」のかを、他の芸能人公式サイトと比べながらざっくり整理してみます。
一般的なタレントサイトの特徴(ざっくり)
- 大きなメインビジュアル+動画背景
- スクロールでふわっと出てくるコンテンツ
- SNS埋め込み、ニュースティッカー、モーダルウィンドウなど機能盛り盛り
- 容量は数百KB〜数MBが当たり前
阿部寛さんのホームページの特徴
- テキスト中心で「必要最低限」の写真だけ
- トップから「プロフィール」「出演情報」「ニュース」に一発アクセス
- フレームレイアウトで常にメニューが見えている
- 容量は数十KB台、HTMLだけなら10KB前後
つまり、ビジュアル表現を削りに削った代わりに、目的に必要な情報だけをドンと置いている。この「振り切りっぷり」が、他の芸能人サイトとの決定的な違いであり、何気に一番すごいポイントです。
誰が作ったのか、いつからあるのか、そしてhttps化・IPv6対応まで

ここでは、サイト誕生の背景やファンサイト時代、公式化の流れに加え、IPv6対応やhttps化など技術面の進化を時系列で整理します。
もともとはファンサイト?誰が作ったのか&いつから公開されているのか
「阿部寛 ホームページ 誰が 作った?」という疑問、検索候補にもよく出てきますよね。
公開情報をまとめると、もともとは阿部寛さんのファンが、非公式のファンサイトとして制作したホームページで、その後、所属事務所の公認を受けて公式サイトになった、という経緯があります。
制作時期は、複数の資料を総合すると1990年代後半ごろ(おおよそ1998年前後)とされています。まさにインターネット黎明期、「家にISDNが入った!」と喜んでいた時代の空気感そのままです。
制作したファンの方の個人名までは公には出ていませんが、「最古参のファンサイトがそのまま公式化して、25年以上一線級で機能している」という時点で、もうレジェンド案件と言っていいでしょう。
事務所公認で公式サイトに。現在の管理者は誰?更新スタイルの謎
先ほどの通り、このサイトは後に事務所公認となり、公式ホームページとして運営されています。
運営主体としては、
- かつての所属事務所「茂田オフィス」が公式サイトとして公認し運営
- 現在は、阿部寛さんの個人事務所「オフィスA」が運営しているとされる
…といった情報が出ています(公式発表では「所属事務所による運営」といった表現)。
ここが面白いのが、デザインはほぼ当時のままなのに、内容はちゃんと更新され続けているということ。出演情報や最新ニュース、プロフィールの更新などは、今でもきちんと反映されています。
つまり、「見た目は平成初期、運用は令和」というギャップをキープしながら、コンテンツの更新だけきちんと行うという、かなりレアな運営スタイルになっているわけです。
IPv6対応でネットがざわついた!表はレトロ、中身は最新回線事情
技術クラスタをザワつかせたトピックのひとつが、「阿部寛 ホームページ IPv6 対応」というニュースです(汗)
2020年ごろ、「あのレトロサイトがIPv6に対応している!」というニュースがIT系メディアで取り上げられました。
正確には、abehiroshi.la.coocan.jp をホスティングしている@niftyのサービス「LaCoocan」側がIPv6対応したことで、阿部寛さんのホームページも「IPv4+IPv6」の両対応環境で動くようになったという形です。
外から見えるのはいつもの、あの素朴な画面。でもDNSを引いてみると、しっかりIPv6アドレスが返ってくるという、このギャップ。エンジニア的には「見た目との落差が激しすぎてニヤニヤしてしまう案件」です。
阿部寛 ホームページのhttps化と暗号化通信|セキュリティはどう変わる?
そして、2025年にはもう一つ大きな変化が訪れます。そう、検索キーワードにもある「阿部寛 ホームページ https化」「暗号化」「セキュリティ」問題です。
2025年10月31日までに、阿部寛さんのホームページはHTTPS(SSL/TLSによる暗号化通信)に対応しました。
現在(2025年末時点)では、
- ブラウザや検索エンジンからアクセスすると、基本的にはHTTPS版に誘導される
- 一方で、HTTP版もまだ並行稼働している「移行期間中」
という状態で、完全にHTTPSのみになるのは2026年7月ごろとされています。
ここでざっくり整理すると、
- HTTP … 通信内容が平文。覗こうと思えば途中で読まれてしまう可能性がある
- HTTPS … 通信内容が暗号化される。途中で盗み見られても中身は分からない
という違いがあります。
ユーザー情報を大量に扱うようなサービスではないとはいえ、公式サイトがHTTPSに対応しているかどうかは、今や「最低限のセキュリティマナー」。その意味で、セキュリティ」的にもついに令和標準に追いついたと言えます。
一方で、HTTPS非対応の古いブラウザやレトロゲーム機からはアクセスしづらくなるため、「レトロPCの接続確認に使えなくなる!」と一部で嘆く声もあり、「文化遺産としての阿部寛」と「現代のセキュリティ要件」のせめぎ合いが、インターネット文化的にはちょっとしたドラマになっています。
「変わった」と話題になったポイントと、あえて変えないレトロ感のバランス
2020年のIPv6対応、2025年のhttps化と、裏側のインフラやセキュリティ面では着実にアップデートされてきた阿部寛 ホームページ。
しかし、ブラウザで開いた瞬間に目に入るデザインは、ほぼ「昔のまま」です。背景の「ABE Hiroshi」文字壁紙、左に縦並びのテキストメニュー、中央にどーんと写真とテキスト。このレトロ感が一切ブレていません。
つまり、
- 中身(サーバー、通信方式、セキュリティ、IPv6対応など)は令和仕様に「変わった」
- 見た目(HTML3.2相当のソース&90年代風デザイン)はあえて「変えない」
という「変わった」と「変わらない」の絶妙なバランスで成り立っているわけです。
Web制作の現場でよく言う「フルリニューアル」ではなく、安全性と運用性のために必要なところだけをピンポイントで更新している、非常にスマートな長期運用の事例だといえます。
阿部寛 ホームページから学ぶ、これからのWeb制作とコーポレートサイトのヒント

最後のパートでは、このホームページの事例から、現代のWeb制作や自社コーポレートサイト改善に活かせる具体的な考え方とチェックポイントを紹介します。
リッチ表現全盛の時代に、なぜ「平成レトロ」なサイトがここまで愛されるのか
ここまで見てきたように、阿部寛さんのホームページは、技術的にはかなりレガシーです(汗)正直、今新人デザイナーがこのコードを書いたら、コードレビューで全部差し戻されるレベルです。
それでもなお、ネット上では「文化遺産」「HTML界のシーラカンス」「最高のWebサイト」とまで言われ、記事やブログ、技術検証、パロディサイトが次々に生まれています。
理由をざっくりまとめると、
- 目的が超はっきりしている:プロフィール、お知らせ、出演歴が迷わず見られる
- 爆速で開く体験が気持ちいい:ストレスゼロで情報にたどり着ける
- 「変わらない」ことがブランドになっている:長年のファンにとって安心感がある
- ネットミームとしての愛され方:いじりとリスペクトが共存している
といったあたりに集約されます。
つまり、「平成レトロな見た目」自体が目的なのではなく、「阿部寛さんという俳優を知ってもらう」という目的に対して、過不足なく機能している。ここが、Web制作の観点から見ても、ものすごく大事なポイントです。
爆速表示がユーザー体験(UX)にもたらすメリットとは
Web制作の現場では、速度とUX(ユーザー体験)は切っても切れない関係です。「1秒表示が遅いだけで離脱率が○%上がる」といった調査結果もよく引用されます。
阿部寛さんのホームページの場合、軽量なHTML+少数画像+ほぼゼロスクリプトという構成により、測定ツールによっては0.1秒未満で表示完了という結果も出ています。
このレベルになると、ユーザーは「速い」とすら意識しません。「クリック → たどり着きたい情報が即そこにある」という状態が当たり前になり、サイトの存在が、コンテンツそのものの邪魔をしないのです。
コーポレートサイトやサービスサイトでも、
- お問い合わせフォームまでの導線がサクサク
- 採用情報ページがモタつかない
- 商品情報ページがストレスなく行き来できる
といった「速さ=ストレスの少なさ」は、それだけでUXの大きな改善につながります。
「うちのサイト、見た目はそこそこだけど、なんか重いんだよな……」と思ったら、阿部寛 ホームページを一度開いて、「速さの基準」として体感してみるのはオススメです。
シンプルでも伝わる情報設計|メニュー構成やレイアウトを分解してみる
見た目はレトロでも、情報設計(どこに何を置くか)はかなりよく出来ているのもポイントです。
フレームレイアウトのおかげで、左側のメニューは常に表示され続けます。メニュー項目は、
- トップ
- プロフィール
- ドラマ
- 映画
- 舞台
- CM など
と、ユーザーが知りたいであろうカテゴリごとに素直に分かれています。
各ページも「画像1枚+テキストのリスト」という極めてシンプルな構造で、
- どのページを開いても、同じようなレイアウトで迷わない
- 文字情報が中心なので、検索もしやすい
- 余計な装飾がないから、情報だけがスッと頭に入る
というメリットがあります。
モダンなサイトでも、「メニューを絞る」「同じレイアウトをきちんと踏襲する」「テキストでもきちんと伝える」という部分は、ぜひ見習いたいポイントです。
自社サイトにも活かせる「軽量・高速」設計の具体的なチェックポイント
では、実際にコーポレートサイトやサービスサイトで、「阿部寛 ホームページ的な軽量・高速」のエッセンスを取り入れるにはどうすればいいか。いくつか具体的なチェックポイントを挙げてみます。
1. 画像サイズと枚数を見直す
- 「とりあえずフルHDのままアップ」はNG
- Web用にリサイズ&圧縮(最近はWebPなどの次世代フォーマットも有効)
- 本当に必要な画像だけを載せる
2. JavaScriptを減らす・遅延読み込みする
- 使っていないライブラリを読み込んでいないかチェック
- 解析タグや広告タグも必要最低限に
- 下部で読み込めるものは後ろに回す、遅延読み込みする
3. CSS・フォントを整理する
- 使っていないCSS記述を削除
- Webフォントを多用しすぎない(1〜2種類に絞る)
- デザインガイドを決めてスタイルを共通化する
4. キャッシュ・CDNを活用する
- 画像やCSS、JSはブラウザキャッシュを効かせる
- アクセスが多いサイトはCDNで配信する
もちろん、阿部寛さんのホームページのように「全部HTMLで、ほぼ画像なしでいきましょう!」とは言いません。ですが、「軽さ」を意識した設計にするかどうかで、体感の速さは大きく変わります。
まとめ|阿部寛さんのホームページが教えてくれる、Web制作の原点とこれから
最後に、この記事のポイントをサクッとまとめておきます。
1. 阿部寛さんのホームページは「軽さ」と「目的の明確さ」が何よりすごい
- HTML3.2相当+フレームという超レトロ構成
- HTMLだけなら約10KB、ページ全体でも数十KBという激軽容量
- それでも(だからこそ)公式サイトとしてきちんと機能している
2. 見た目は変えずに、中身だけ最新化しているのが「何気に凄い」
- もともとはファンが作ったファンサイトがそのまま公式化
- IPv6対応、https化など、インフラやセキュリティ面は令和仕様
- コンテンツはしっかり更新され続けている
3. 現代のWeb制作でも、「速さ」と「シンプルな情報設計」は武器になる
- 速く表示されるだけで、離脱率は下がり、CVへの到達率は上がる
- メニューやレイアウトをシンプルにすると、ユーザーは迷わない
- 画像・スクリプト・フォントを見直すだけでも、サイトはかなり軽くなる
阿部寛 ホームページのデザインそのものを真似する必要はありません。むしろ、一般企業のサイトが「フレーム+HTML3.2でいきます!」と言い出したら、それはそれで別の意味で炎上しそうです(笑)。
大事なのは、「誰に、何を、どこまで、どれくらいの速さで届けたいのか」という原点。その原点を、25年以上ブレずに体現し続けているからこそ、阿部寛さんのホームページは、いまも「何気に凄いサイト」として語り継がれているのだと思います。
自社サイトを見直すとき、ぜひ一度「阿部寛 ホームページ」を開いてみてください。ちょっと微笑みながら、「本当はこれくらいでいいのかも」と気づかせてくれるかも?しれません。

