検索エンジンとして現状もっとも力をもつGoogleは、ウェブサイトの「常時SSL化」を数年前から推奨しています。
常時SSL化された状態とは、ブラウザのアドレスバーに鍵がかかったアイコンが表示されたり、「保護された通信」と表示されるアレのことです。
SSLとは、ざっくりと申しますと、御社のホームページにアクセスするユーザーとの情報のやり取りを「暗号化」することです。
暗号化によって、サイト内の情報や訪問したユーザーが入力した情報を、第三者が改ざんしたり、漏洩などしないように守ることが可能となります。
「常時SSL化」を行うということは、あなたが運営しているホームページやブログなどを丸ごと暗号化するという意味です。
クレカなど含む個人情報を入力するオンラインショップなどでは当たり前のように行われています。
ただGoogleが推奨しているとはいえ、常時SSL化を行なっていないからといって、御社のホームページの検索エンジンからの評価が著しく下がるようなことは現時点ではありません。
あくまで、「あなたのホームページやブログの安全性をより高めるために「常時SSL化」をやっておきませんか?」とオススメしている段階であり、強制されているわけではありません。
しかし流れとしては、強制レベルと受け取れるような検索順位への影響が、常時SSL化を行なっているかどうかによって近い将来出てくると思われます。
常時SSL化、世間の関心ってまだまだ低い?
御社のホームページやブログの安全性を高めるための常時SSL化ですが、正直なところ「世間の関心ってまだまだ低いのでは?」と感じることの方が個人的には多いです。
何かの統計では、多くの検索ユーザーがアドレスバーの鍵アイコンを確認しているとありましたが、それほど高い確率という印象は個人的にはありません。
実際、複数のお客様に常時SSL化についてご案内させて頂いた際も、「それって何?どういうもの?」という反応をいただくことが多いです。
たしかに常時SSL化について、PCのブラウザでネット検索をしているならば、まだ「鍵のアイコン」や「保護された通信」といった表示に目がいくかもしれませんが、スマホでの閲覧であれば、アドレスバーまで意識して目がいかないように思います。
ましてや2018年7月中旬の時点では、常時SSL化されていない場合でもビックリマークがURLの頭に表示されているだけなので、あまり目立つようなこともありません。
ちなみにPCから常時SSL化されていないホームページの「問い合わせフォーム」に入力を行と、アドレスバーに「保護されていない通信」と表示されますが、こちらであればそれなりに訪問されたユーザーの視界に入っていると思われます。(スマホの場合はビックリマークのままです)
そもそもテレビなどで「常時SSLしようぜ!」なんて番宣的なものもありません。苦笑
そのようなこともあり、オンラインショップや一部企業では導入されている常時SSL化ですが、まだまだ多くの企業や店舗のホームページでは導入が進んでいないのが実情です。
2018年7月、GoogleChromeで「http接続サイト」すべてに警告表示
世間の関心は案外と低め印象の「常時SS化」ですが、推奨しているGoogleは、自社のブラウザ「Google Chrome」の新バージョン「Chrome68」(2018年7月24日登場予定)では、すべての「http接続サイト」に対して「保護されていません」と警告表示を行います。
といっても、これまで通りアドレスバーへの表示であることに変わりはないようですが、これまでのビックリマークだけではなく常に「保護されていません」とでることになります。
その表示にメリットなどなく、どうみてもデメリットでしかありません。
さらに2018年10月の登場予定の「Chrome70」では、御社のホームページが常時SSL化されていない場合、問い合わせフォームなどにユーザーが入力を行う際、「安全ではない」と表示される上に文字の色はグレーではなくレッドで表示されるようです・・・。
薄いグレーの「保護されていません」が、赤く「安全ではない」となったら、さすがに嫌な感じが一気にアップします。
このようなGoogleの動きから見ても、近い将来、常時SSL化を「推奨」から「必須」へと推し進めていくのは疑いようがありません。
常時SSL化を行うメリットとデメリットについて
世間の関心は思いの外低めと思われる常時SSL化ですが、Googleの動きからも、いよいよやるべきことであると言えます。
そこで、ひとまずGoogleの考えはさておき。
実際に自社のホームページを常時SSL化した場合に考えられるメリットとデメリットについても簡単にご紹介してみたいと思います。
メリット
■サイトの改ざんなど不正なアクセスからの安全性を高める。
■鍵のアイコン表示、「保護されている通信」という看板がつくことで、自社のホームページの信頼性の高さを印象づけることができる。
■SEO上、若干有利になる。
現時点では、SSL化の有無が検索結果に大きな影響は与えていませんが、Googleが推奨している以上、検索順位を決定するための要因の一つと考えてよいでしょう。
デメリット
■証明証発行や設定などの導入費用がかかってしまう。
※法人向けは高額な場合もあり
■検索順位が一時的に下がる可能性がなきにしもあらず。
SEO上メリットがあると見られる反面、Googleはサイト内の情報を大きくリニューアルしたり、httpsにURLが変更になるなど、一定の変化に対して順位を一時的に落としてくれたりするケースがあることは覚悟しておきましょう。
■ソーシャル系のリンクカウントがすべてリセットされる。
FacebookやTwitterなどのソーシャルボタンをサイトに設置している場合、そのカウント数が0になってしまいます。(ただしリンクが切れているのではなくカウントの表示がリセットされてしまうのです)
■Googleアナリティクスやサーチコンソールのサイト情報を「http」から「https」に変更しなければならいない。
常時SSL化のメリットとデメリットを比べると、導入費用はかかるとしても、やらないよりやる方が、ホームページを商売に利用している企業やお店にとって重要なのは疑いようがありません。
独自SSLの導入費用について
サイトの信頼性アップはもちろん、訪れた方の情報保護の観点からも対応しないよりもする方が好ましい常時SSL化ですが、気になる導入費用については、正直マチマチです。
一口に導入費用といっても、SSL証明書の発行初期費用、導入作業費用などもあり、証明書については有効期限ごとに更新が必要になるのが一般的です。
サービスによって価格も変わってきます。
さらには「認証レベル」によっても費用に大きな違いがあります。
法人企業や団体が登録できる「OV(企業認証)」は、証明書発行費用はそれなりに高額です。(その上には最高レベルの「EV」もあります)
※こちらは個人の場合登録不可。
対して、ドメインレベルでの証明書として「DV(ドメイン認証)」ならば、料金はとてもリーズナブルです。(無料プランならサイトの移行作業費のみも可)
こちらの場合、あくまで使用しているドメインの信頼を証明するもので、法人・個人を問わず誰でも登録が行えます。
導入コストは抑えたいけど、サイトの暗号化はやっておきたいという場合は、「DV(ドメイン認証)でひとまず常時SSL化を行なうことをオススメです。
導入しないよりした方が間違いなくよいと思いますので。
冒頭でもお伝えいたしましたように、今のところは常時SSLの有無による検索結果への影響はほとんど見受けられません。
しかし今後を見据えて、サイトの管理会社さん(外部委託の場合)や代行業者さんなどにぜひお早めにご相談ください。
なにぶん…変化の早い業界ですから。